なぜPV数が多く回遊率が高いと「良いサイト」なのか&PVを増やす正攻法

検索エンジンを経由したユーザーのコンバージョンレート(CVR)向上を図ろうとするとき、「回遊率の向上」や「PV数の増加策」について考え直す必要があります。

検索ユーザーの滞在時間があまりにも短い場合は、検索意図(インテント)とコンテンツの中身が合っていないので、内容を充実させるなどの策が取れますが、滞在時間は長いのに離脱・直帰が多い場合、サイト内の回遊の仕組みを整備する必要があります。

なぜ回遊率を向上させPVを増やすことがコンバージョンレートの向上につながるのか、その理由とともに、PVを増やす方法についても解説していきます。

PVが多い→ロイヤルティ・エンゲージメントが生まれやすい→コンバージョンの可能性が高まる!

PV(ページビュー)とはユーザー1人がサイト内でどれだけのページを見たかを表した数値です。Google AnalyticsなどのWebページ解析ツールでは、ページごとやディレクトリごと、サイト全体などの平均PV数値が見られます。さらにアクセス経路ごとにPV数を見ることも可能です。

たとえば月間10,000ユーザーがアクセスする似た業種・ジャンルのサイトAとBがあったとします。Aの平均PVは1人1.2ページで、Bの平均PVは1人5ページだった場合、Aは12,000PVのサイトで、Bは50,000PVのサイトとなります。同じ似た業種・ジャンルのサイトで同じ1万人を集めていても、AとBでは4倍以上のPVの開きがあるということです。

PVが多いということは、検索エンジン経由なり広告なりで到達したユーザーがページ内容に深い関心を寄せていて、他のページにも興味を惹かれているという状態にほかなりません。Webサイトへの信頼性や愛着(ロイヤルティ)のほか、いいねやクリック、シェアなどの良いリアクション(エンゲージメント)が生まれやすい土壌を持っているということです。さらに一度限りのページ訪問ではなく、今後再訪(リピーター化)する可能性も高いと考えられます。

つまり回遊率が高くPV数が多いサイトは、購入や問い合せ、資料ダウンロードなどのコンバージョンルートへの接触が増える良いサイトだということが言えます。12,000PVのAよりも50,000PVのBの方がロイヤルティとエンゲージメントが高く、コンバージョンしやすいサイトだということです。

現時点でコンバージョンはしないものの、すでにエンゲージメントできているユーザーは、近い将来顧客へと変化する可能性もあるでしょう。

すぐにPVが増やせるのは「ページネーション」だがUXを損なう可能性が高い

PVを増やす方法としてもっとも手っ取り早いと考えられていたのは、ページを分割する「ページネーション」でした。

Google検索のページネーション

Google検索のページネーション

一時期はSEOにも効果的に働くとされ人気を集めた手法で、いまだにビジネス系のメディアや個人ブログなどでもよく目にします。

ページネーションはコンテンツ提供側にとってはいいことばかりだったかもしれません。PVが手軽に増やせるだけでなく、広告等の表示回数(インプレッション数)も増えるので、広告運用で稼ぐタイプのメディアサイトにはうってつけの手法でした。ページ遷移ごとに全面広告を出すようなケースもよく目にします。

広告を挟む形で上部に次ページリンク、下部に各ページのリンクが入った老舗ビジネスメディアのページネーション

広告を挟む形で上部に次ページリンク、下部に各ページのリンクが入った老舗ビジネスメディアのページネーション

しかしページ分割をするとユーザーに対してページ遷移のアクションを要求することになるので、ページが進めば進むほど離脱率は高まります。また全面広告が多いとサイトへのロイヤルティは下がるので、ユーザーがアンチ化するケースもあるかもしれません。

「一度に読み込む容量をコンパクトにできるから悪いことばかりじゃないよ!」というご意見もあるかもしれません。しかし遅延読み込み処理を行えば大容量のページでもユーザーのストレスなく表示することが可能です。

遅延読み込み処理については下記記事で詳しく説明しているのでご参照ください。

Googleコアアップデートの傾向と検索順位の新指標「コアウェブバイタル」とは

ページネーションがSEOに有効だったのは過去の話

さきほどから「考えられていた」「ページネーションでした」「一時期人気」などと過去形で書いたのには理由があります。

PV稼ぎや広告インプレッション稼ぎに悪用されがちなページネーションはユーザーに嫌われている、という事実をようやくGoogleが認めたのです。

このようにrel = prev / nextなどのページネーションタグのサポートを2019年3月に終了するとともに、「調査によるとユーザーは単一ページのコンテンツを好むことがわかった」と言及しています。

さらにGoogleは全面広告などのインタースティシャル広告について推奨事項禁止事項などのガイドラインを設定し、多くのユーザーが煩わしいと感じるインタースティシャル広告はページエクスペリエンスシグナルに含み、検索順位に悪影響を及ぼす可能性を示唆しています。

つまり、いたずらにページ分割してPVを増やし、ページ遷移の間に全面広告などを入れる手法は、2019年3月以降のSEOの世界では無効になったということです。

正攻法でPVを増やす方法

正攻法でPVを増やすのには、サイト内にある他のページへ飛ぶリンクを掲載して回遊を促す方法がポピュラーです。

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といったものがスタンダードです。

回遊率を上げるタイトル変更・アイキャッチ変更のコツ

これらを掲載し、それでもPVが伸び悩む場合は、リンク掲載の方法を調整してクリックスルーレート(CTR)の向上を図り、回遊率を上げましょう。

  • 検索意図やユーザーインサイトを考慮し、リンク記事タイトルを「次なる課題の解決」に結びつくような内容に変更する
  • サイト内リンクテキストのカラーは目立つ色を使用し、クリッカブル(クリックできる)であることをアピールする
  • テキストリンクのみの場合はアイキャッチ付きのリンクを掲載する
  • アイキャッチを、記事本文が連想できるような図や表に差し替える
  • アイキャッチに、興味をそそる・クリックを煽る文言を入れる人気YouTuberのサムネイルを手本にする。その際、媒体のトンマナから外れないように注意)
  • 本文と関係のないコンテンツや広告と認識されて離脱されるのを防ぐため、リンク面積は広くしすぎない
  • スマホユーザーの割合が多い場合、アイキャッチの占有面積は縮小する(PCの場合も、記事との関連性が薄いアイキャッチがデカデカと表示されるのは望ましくない)

来週以降に補足・理由などの説明文を加筆する予定ですが、一旦は上記リストをご参照ください。

PVを増やす方法まとめ

  • PVが多いサイトは顧客ロイヤルティ・エンゲージメントが生まれやすく、コンバージョンの可能性も高いサイトである
  • PVを増やす方法として一時よく採用されていたページネーションはユーザーに嫌われやすく、検索順位に悪影響を及ぼす可能性があるのでおすすめしない
  • サイト内関連リンクを張り巡らせる手法がもっとも正当なやり方
  • アイキャッチ付きリンクは適切に使わないと有効に働かない

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創業2011年から現在まで、およそ200社のWebサイト・コンテンツ制作・コンサルティングを手掛けてきたWeb専門代理店です。営業に関するお知らせやプレスリリースのほか、当社で蓄積したWebマーケティングに関する知的資産(ナレッジ)を公開します。執筆者はデザイン、開発、SEO、コンテンツマーケティング、営業など各部門の専門家です。