動画需要は急上昇中!BtoB向け動画マーケティングをWithコロナの今やるべき理由

前回のブログではSERPs(検索結果ページ)で地図や動画を表示するケースが増えているという事例をご紹介しました。

Google・YahooのSERPs構成とそれぞれのSEO対応リスト【2020年夏版】

今回はそんなSERPsの変化から「動画」に絞り、動画閲覧の時間と動画の検索需要が急増した昨今の時流について解説します。さらに、

  • 今後の動画需要はどう変化していくか
  • なぜBtoBビジネスでも動画マーケティングの必要性が高まるのか

についても詳しくお伝えします。

動画の閲覧時間は急増!コロナ禍でさらに拍車がかかる

動画の閲覧時間は増加の一途を辿っています。さらにコロナ禍を経て、この傾向にますます拍車がかかるようになりました。まずは少し遡って、昨年3月にニールセン社が公開したスマホに関する調査データを見てみましょう。

若年層の月間の動画視聴時間は1年間で約2時間増加~ニールセン スマートフォンの利用状況を発表~(2019/3/26)

ニールセンというと昭和生まれ世代にはテレビ番組の視聴率調査会社としておなじみの存在ですが、昨今ではデジタル広告やスマホ、インターネットの視聴率なども計測しています。

ビデオ・映画の月間平均利用時間(2018年12月ニールセン調査)

2018年末に計測したデータによると、18歳から34歳の年代では月間の動画閲覧時間が10時間43分となり、2017年末時点と比べると2時間強(+126分)も増えていることがわかります。

全世代の推移に目を向けてみると、1年で1時間弱(+57分)ほど増加。調査対象年齢は明示されていませんが、のちほどご紹介する同社の最新データには、18〜34歳、35〜49歳、50歳以上との記載があるので、50歳以上の世代でも2017年から2018年にかけて動画閲覧時間が増加しているということがわかります。

注目したいのは、スマホアプリやスマホブラウザの閲覧時間そのものは1年で1分程度(3時間4分→3時間5分)しか変わっていない点です。
つまり、スマホを利用する中で“動画”の占める割合が増えてきているということです。

コロナ後はYouTube・TikTok・ニコ動等の視聴時間も増加

それではWithコロナ時代突入後の動画閲覧時間はどうなったのでしょうか。同じくニールセンが発表したスマートフォン視聴率情報の最新データを見てみましょう。

COVID-19の影響で、3-4月の若年層の「投稿動画」視聴時間が大幅増加~ニールセン、スマートフォンの動画アプリ利用状況を発表~(2020/05/29)

コロナ禍が本格的に始まる2020年1~2月平均と、全国一斉休校や緊急事態宣言の只中にあった3~4月平均を比較すると、YouTube、TikTok、ニコニコ動画などの「投稿動画アプリ」の利用状況に大きな変化が見られました。

「投稿動画」アプリ1人あたりの月間平均利用時間推移 ニールセンモバイルネットビュー2020年1〜4月調査データより

18〜34歳では月間閲覧時間が2時間44分増加、35〜49歳では20分増加、50歳以上では27分増加しています。
全体平均では1〜2月と3〜4月では59分増加となりました。

このデータでは「投稿動画」として計測し、長時間視聴を前提としたネットフリックスやアマゾンプライム・ビデオといった動画配信サービスの閲覧時間は含んでいないようです。

つまりYouTubeやTikTokなどの短時間視聴をベースとした動画マーケティングの需要がコロナを経て高まってきたということがわかりました。

おうち時間が増え、ビジネスパーソンの動画閲覧時間にも変化が

コロナの影響で在宅・リモート時間が増え、逆に移動や会社で過ごす時間が減ったビジネスパーソンは多いはずです。

生活様式がステイホーム中心になったことで、周囲の耳や目があって遠慮していた動画再生に抵抗がなくなり、さらに家のWi-Fiに常時接続できるようになり「スマホで動画を見るとギガが減る!」と心配することも減ったことでしょう。

「記事が読みたくてクリックしたらYouTube動画だったので慌てて戻る」ということもなくなったのではないでしょうか?

加齢で読書量が減る現象には変化なし

PCやスマホが普及するにつれて動画の閲覧時間も増えていく。その一方で読書量が減ったと実感する人も多いかもしれません。
文化庁が平成7年から毎年実施している「国語に関する世論調査」の最新データを確認してみましょう。

1ヶ月に読む本の冊数 文化庁 平成30年度「国語に関する世論調査」より/調査対象:全国16歳以上の男女

読書についての項目で「1ヶ月に大体何冊くらい本を読むか」という設問に対しては、「月に1冊も読まない」と回答した人が47.3%。10年前の平成20年度の回答でも46.1%もの人が1冊も読まないと回答しました。この10年で読書量そのものは実はあまり変わっていません。

次に「人が最も読書すべき時期はいつ頃だと考えるか」に対して「10歳代」と答えた人は40.7%、「9歳以下」が18.8%、「年齢に関係なくいつでも」は21.8%だったので、今現在の読書よりも、子どもの頃の読書を重視している人が多いということがわかります(グラフ割愛)。

また、「読書量は以前と比べて減っているか増えているか」という設問に対しては「減っている」と回答した人が 67.3%で、平成20年度では64.6%なので、これも大きな変化はありません(グラフ割愛)。

以上のことから、大人は子どもよりも本を読まず、「大人の活字離れ」は今に始まったことではないということがわかりました。残念ですが加齢とはそういうものなのかもしれません。

一方、子どもたちの活字離れはこの30年で急激に進んでいるようです。

小学生の読書量は30年前と比べて1/3に低下

学研が定期的に発行している「小学生白書」の月間読書数という項目によれば、1989年の小学生の読書量は月平均9冊、2019年では月平均3冊と、この30年で1/3に低下していることがわかりました。

読書量 – 小学生白書Web版 学研教育総合研究所|学研

大人の半数が月1冊も読まないことと比べれば「小学生は3冊も読んでいる」とも言えますが、子どものころの読書体験を重視する先の傾向と合わせると、1/3に減少したのは大きな問題のように思えます。

子どもたちの読書量低下がもたらす弊害については過去記事「ライター仕事をAIに丸投げするのは可能か?AIに仕事を奪われないライターとしてこの先生きのこるには」でも触れているので、興味がある方はご一読ください。

(教育視点から見た読書量の低下問題はひとまず置いておきますが)つまり「デジタルネイティブ世代の活字離れはこれからますます進行していく」と考えられ、「ミドル・シニア世代においてはすでに活字離れして久しい」ということが言えます。

こういった社会背景が、動画コンテンツの普及と増加をさらに後押ししていくことでしょう。

BtoCワードの検索結果には「動画」が一番上に表示されるケースが急増中

さて、ここからは検索エンジンとSERPsについてのお話です。
動画閲覧時間の増加と同様に、SERPsにもいろいろな変化が見られるようになりました。

先日、自室の冷房効率を上げるためにプラスチックの板を使った二重窓を自分で作ろうと思い立ち、スマホのブラウザ(GoogleChrome)で、「二重窓 DIY」と検索したときのことです。

「二重窓 diy」の検索結果にはDIY動画が一番上に表示されている

検索結果の一番上には、ホームセンター公式チャンネルによる商品キットを使った二重窓の制作動画や、一般YouTuberのDIY動画がズラっと表示されていました。

動画のあとには、DIY系のブログ記事やメディア記事が並び、ほかの関連キーワード候補「防音、夏、賃貸」、プラダンやポリカといった素材別のイメージ画像、ECサイトの商品広告(断熱フィルム、防音ボード、ブラインド)などが並んでいました。

この表示順を見るとGoogle側では、

  • 二重窓を自分で作りたい人には「動画」の提供がもっとも適しているだろう
  • 次に需要があるのはDIY記事だろう
  • 画像で素材ごとの質感を見たい人が多いかもしれない
  • 二重窓の自作を諦めた人が「断熱フィルム」や「ブラインド」に目移りする可能性も十分ある

と判断していることがわかります。
検索ユーザーにとっての利便性や心理を巧みに読み取った結果、「DIY動画を一番上に表示する」という判断に至ったのでしょう。

このように、BtoCビジネスにおいては検索するキーワードのジャンルによって「動画」が真っ先に表示される事例は急増しています。

一方のBtoBビジネスにおけるキーワード検索の結果はどのように変化しているのでしょうか?

「AWS 導入」で検索したときのSERPs

PCのブラウザで企業のIT担当者が検索しそうな「AWS 導入」というキーワードで検索してSERPsを見てみました。(※いくつかのリンクにマーカーが付いているのは、筆者のPCにインストールしているアンチウィルスソフトの仕様です)

「AWS 導入」のSERPs

最上部にAWS公認パートナーや導入支援企業(認定申請中)によるリスティング広告が3件表示されたあと、1位にはAWS公式サイトの導入事例ページがランクインしています。当然の結果です。
「国内のお客様の導入事例」というタイトルで、多数のクライアントインタビュー動画が貼り付けてありました。

その他の上位にはベンダー(システムインテグレータ)のAWS解説記事や事例紹介記事などもランクインしていましたが、インタビュー動画を貼り付けたページも多数ありました。

検索タブの優先順位は、すべて>ニュース>画像>動画>ショッピングの順番

「AWS 導入」で検索したときのタブの並び

PCでGoogle検索をした場合、タブ表示は左から「すべて」「ニュース」「画像」「動画」そして「ショッピング」と並びます。このタブの並び順は検索ユーザーにとって需要がある順番だと考えられます。

「すべて」にはリスティング広告、Web記事、ニュース、画像、動画等のすべてのコンテンツの検索結果が表示されます。

「ニュース」の検索結果には、ベンダーやAWS公式のサービス、イベントなどのプロモーションやプレスリリース記事が並びます。

「画像」の検索結果はサーバーやデータベース等の構成を図で解説したチャートイメージがほとんどでした。

「画像」の検索結果は図解チャートがほとんど

つまり画像で「AWS 導入」の結果を見たい人は、AWSの仕組みや構成といったAWSの基本を理解したい人だということが伺えます。

一方で「動画」の上位にランクインしているのはAWS公式や公認パートナーが導入支援をした企業担当者のインタビュー動画(YouTubeや動画掲載ページ)などのプロモーション動画がほとんどでした。

「AWS 導入」の動画SERPs

この結果から、動画は「導入した企業の概要」「導入に至るまでの過程・課題」「AWS導入によってどのように課題を解決したのか」「どれぐらい大変だったか、あるいは大変ではなかったか」といった「企業や組織におけるAWSの導入事例を情報収集している人のためのコンテンツ」であることが伺えます。

動画のSERPsで少し残念に感じたのは、「AWS 導入」で上位にランクインしているにも関わらずリンク先ページに動画が存在していなかったり、AWS導入と関連性が薄い動画がランクインしていたり、検索ユーザーの要望をほとんど満たしていないページの割合が非常に多かったことです。

最後の「ショッピング」の結果には入門書的な書籍がズラズラっと並んでいました。

場合によってはショッピングの前に「地図」のタブが出てくることもありますが、東京のベンダー企業がいくつか表示されただけで、当社(浦和)の周辺には一つもピンが刺さっていませんでした。
「AWSの導入をサポートしてくれる近所の会社」を示してくれなかったので、地図タブの優先順位は今のところショッピングより下でいい気がしました。

本当は「AWSのしくみ」を動画で知りたい人が多いのかもしれない

SERPs情報をまとめると、現時点で「AWS 導入」を検索するユーザー(企業のシステム導入担当者など)にとって重要な情報は、

  1. AWS公式サイトや公式に準じた確度の高い情報
  2. 世間でどれくらい流行っているのか
  3. 基本・しくみ
  4. 他社の導入事例
  5. 入門書(書籍でじっくり読んで基本を理解したい)

といった順番であるということがわかります。

今回のSERPsに出た動画のほとんどは、導入後の事例インタビューで(サービス案内はあっても)AWSのしくみや基本を伝える動画は大変少ないように感じました。

しかし本当は動画検索においても、画像やショッピングの検索結果に多かった「AWSの基礎知識」のような初心者向けのハウツー情報を検索ユーザーは求めているのかもしれません。

また「AWS 導入」だとニュース動画はまだランクインしていませんでしたが、ほかのキーワードのニュースタブには動画がいくつか見られました。

「ドコモ口座」でニュース検索したときのSERPs

コロナ禍で動画閲覧しやすい状況が増えたことを受け、ニュース動画を欲する人は今後ますます増えていくと考えられます。

動画需要は高まっているのに情報提供側が供給できていない

BtoC寄りキーワード「二重窓 DIY」では、動画を閲覧したいユーザーの需要と、コンテンツの供給が合致している様子がわかりましたが、BtoB寄りキーワードの「AWS 導入」では、動画閲覧の需要が高まっているにもかかわらず、情報提供側がまだ十分な動画コンテンツを供給できていないという実態が明らかになりました。

動画マーケティングの現状を端的にまとめると、

  • 「良質な動画コンテンツ」の登場がユーザーからは望まれている
  • とはいえ質の高い動画の数はまだ少ない
  • つまりテキストベースのコンテンツよりもライバルが少ない
  • 活字離れした多くの人々に情報が届けられる

となります。
つまり…

動画マーケティングで最大の効果を得るには今がチャンスなのです!

次回のブログでは「動画SEO」の仕組みについてお伝えします。

やってみてわかった動画SEO・VSEO|YouTube検索順位上昇のポイント

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